話せる人じゃなくて、ちゃんと届く人に
貴女は、人前で話すことに、興味がありますか?
セミナー講師とか、研修講師とか。そう聞くと、「自分にはムリ」と思ってしまうかもしれません。
堂々と話せる自信がない、教えるなんて荷が重い。
でも実は、求められているのは「話がうまい人」ではないんです。
誰かの心にちゃんと届くように話せる人。
言葉がすっと入ってきて、終わったあとに
「わかる、やってみよう」と思ってもらえる人。
そんな人が、これからの講師にぴったりです。
私は長年、企業向けの研修講師をしています。

たとえば「伝わる話し方」というテーマで講座をつくるとき、
私がいつも最初にやるのは、今日この時間で得られることをはっきり伝えること。
「自分の思いが相手にきちんと届くコツを見つける時間です」と伝えると、
聞く側も「そっか、それを学ぶんだな」と気持ちの準備ができますよね。
でもここからが大事。
いきなりコツやポイントを話し始めても、なかなかピンとこないんです。
だから私は、まず参加者どうしでちょっとしたワークをしてもらいます。
たとえばこんなふうに聞きます。
伝えたかったのに、うまく伝わらなかった経験はありますか?
逆に、うまく伝わって相手がすんなり動いてくれたことは?
これを出し合うだけで、「伝えるって、意外と難しいよね」「あのときの私は、こうすればよかったのかも」と、みんなの意識がテーマに向かっていきます。
貴女も、誰かの話を聞いているうちに「これ、自分にもある」と思ったことはありませんか?
そうなると、自然と真剣に聞けたり、記憶に残ったりしますよね。
講座って、最初のこの雰囲気づくりがとても大切なんです。
それからもう一つ、うまくいくコツがあります。
それは、講師自身がまず自分の失敗談やちょっとした工夫を話すこと。
私は以前、しっかり準備したつもりの説明が全然伝わらなかったことがあって…
何がいけなかったのか、そのときの相手の反応、気づいたことを話すと、みんな「あるある」と笑ってくれたり、安心して話してくれるようになりますよね。
講師って、完璧じゃなくて良いと思っています。
むしろ、伝えることにつまずいた経験がある人の方が、受講者の気持ちがわかるから強いんです。
最後に、これだけは伝えたいなと思うのは
研修講師やセミナー講師って、知識を一方的に教える人じゃない、ということ。
その場にいる人が、自分の経験や言葉で考えられるようにサポートするのが、講師の大事な役割です。
貴女は、今までの経験の中で
「もっとわかってほしかったのに」「どう言えば伝わったんだろう」
そんな場面に心当たりはありませんか?
その気持ちや経験こそが、講師として誰かに寄り添うチカラになります。
話す技術より、届ける工夫。
完璧な説明より、ちょっとした共感。
貴女の言葉が、誰かの背中をそっと押す日がきっと来るはずです。
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